朱雀家の滅亡

slowlearner_m2010-12-25



三島由紀夫の戯曲『朱雀家の滅亡』を初めて読みました。
これは、とても興味深い戯曲です。
しかし、わたしには、やってみないと分からないことがたくさんある戯曲でした。

やってみないと、というのは、実際に舞台でやってみないと、ということです。
昔、チェーホフの『三人姉妹』を演出させてもらった時、やる前とやった後では、まったくチェーホフの受容の仕方が変わってしまいました。あれから、チェーホフに取り憑かれたと言っても過言ではありません。

全集版で読んだのですが、上演記録を見ると、舞台監督に和久田誠男という名前がありました。和久田さんは、大森にあった古書店・天誠書林の店主であった和久田さんの若き日の姿です(ですよね)。
天誠書林は、大森なので何度もというわけにはいきませんでしたが、何度か通った古本屋さんです。カーネーション直枝政広さんもお客さんでした。もうお店は閉めてしまわれたのですが、西荻ブックマークの『昔日の客』のイヴェントの時に、久しぶりにお会いしました。

和久田さんの話が聞きたくなりました。
1967年にお客さんはこの芝居を、どんな思いで見たのでしょう、和久田さんは、どう感じられていたのでしょう。



ちなみに千家元麿の詩集に貼り込まれていた1枚の葉書を秘蔵しています。
それは、この本が中村伸郎さんからある女性の方に贈られた事を示していました。
意味深なものはありません。葉書の内容は礼状といったものでした。
もちろん本が読みたくて買ったのですが、ある女性は梅香文子さんでした。
梅香文子は、往年の宝塚のスターで、俳優の森雅之の子どもを生み、その子どもとは亡くなった女優の中島葵さんで…。今でも大切に本棚に仕舞ってあるのです。