まだまだ本屋さんの感想

slowlearner_m2010-12-24



渋谷ユーロスペースほかで上映中の『海炭市叙景』ですが、まだまだ本屋さんから感想を送っていただいています。
公式HPにもアップしましたが、こちらにも転載しておこうと思います。


「せつなくてやるせない気持ちで一杯です。小栗康平監督の「泥の河」を観た後と同じように、映画館の席で途方に暮れました。素晴らしい出来映えの作品です。熊切監督の演出も繊細で重厚ですが、俳優陣の演技も破たんがなく、役になりきっています。脚本も原作をじっくり読みこなして、5編を厳選したのだと思います。原作にない味付けも見事ですね。撮影も海炭市(函館市)の抒情的風景とそこで密やかに暮らしている人々の生活を、実に丁寧に映し出しています。」

有隣堂 中村努


有隣堂さんは、HPの「本の泉」というページで、有隣堂の書店員の皆さんが、原作である佐藤泰志さんの「海炭市叙景」の文庫の紹介をしてくれています。

http://www.yurindo.co.jp/izumi/?flag_no=401

「人々のありふれた暮らしが、風景画のように心に写る、冬の夜に静かに読みたい作品。」
映画もまたそのような作品として完成することができたと思います。


「プロパンで足の指を潰した瞬間、僕の心身は硬直した。これまでにないくらい長い時間だ。あんな体験はおそらく初めてだったと思う。
ここに出てくる人々に救いなどあるのだろうか?寒いし暗いし、そして何よりクソみたいな人生だ。果たして生きていることにどれほどの意味があるのだろう?
そんなことを思わずにはいられないが、皆毎日生きている。
寒し冬がもたらすものは何なのだろう?
寒し冬を越えたとき、いったい何が待っているのだろう?」

青山ブックセンター 六本木ヒルズ店 高橋教


「お客さんに読んで欲しい本がある」という本屋の皆さんの熱い想いが、いただいたコメントから伝わってきます。
かつて渋谷のブックファーストが大きな店舗だった時に、やはりそこに在籍していた若い書店員の方たちが、「読んで欲しい」「どうしてもっと売れないのだろう」と試行錯誤している姿に接したことがあります。その思いの強さが、とても好ましく、その本に関係のないこちらまでもが、熱くなってしまったものです…。

「映画にそういう熱気はあるだろうか?」「お店としての映画館にそういう熱気があるだろうか?」いつも自問自答してしまいます。公式HPでは、各劇場のそういう熱さが、少しでも伝わればと、各劇場の取り組みを、出来る限り紹介したいと思っています。



札幌のシアターキノで開催される30日のイヴェントの告知をアップしたところです。お近くの皆さんは、是非ご参加いただければ嬉しいです。

朝日、読売、毎日、産経新聞の各紙に『海炭市叙景』の映評がでました。
是非御参考に読みただければ幸いです。