またいつもの日々です。

slowlearner_m2010-02-23



浅生ハルミン原作、星野真里主演、鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』は、この後は那覇桜坂劇場で上映があります。


那覇桜坂劇場 2/27〜3/5 http://www.sakura-zaka.com/


是非ご覧いただければ幸いです!



撮影が終わって、またいつもの日々に戻ってきました。
でも、シャバに戻ったら、1/17に浅川マキさんが亡くなったと知らされました。
マキさんは、名古屋ツアーの最中に亡くなったようです。


http://www.emimusic.jp/asakawa/main.htm



20代の頃、文芸坐(同じところにあったのですが、昔の)に務めていて、映写と文芸坐の地下にあった文芸坐ル・ピリエという劇場の小屋付きをやっていました。文芸坐ル・ピリエは、もともとボイラー室で、そこを芝居もやれば落語も、ライブも映画も上映するという多目的な劇場でした。
客席の前に大きな柱が2本ある、黒尽くめの空間です。
私が働いていた頃、クリスマスも終わって、大晦日までの間、ル・ピリエは数日の間、毎年浅川マキライブでした。
劇場のスタッフである私たちが照明を仕込み、受付をするのです。そして、大晦日の公演が終るとマキさんが、私たちにご苦労様でした、と、お年玉をくださるのです。
舞台には椅子が一脚置かれ、初日には客入れが始まると、昔からのファンの方からなのでしょう、一輪薔薇の花置かれます。マキさんが舞台に登場すると、その花の匂いを嗅ぎ、そして静かに歌いはじめます。
浅川マキ、渋谷毅、川端民生、セシル・モンローというセットが好きでした。



家にあるマキさんの著書です。
文章もとてもよいのです。



マキさんのCDの裏にあった、かつてのル・ピリエの写真。
ベースの川端さんも、PAの柴田さんも亡くなって、マキさんも逝ってしまいました。
悲しいです。







ゲゲゲの女房』撮影中のスナップです。
ゴダールの『カルメンという名の女』のラストが、とても好きです。ジロドゥーの戯曲『エレクトラ』が引用されているシーンです。撃たれ息をひきとろうとするカルメンは、美しいホテルのボーイにこう問いかけます。「一方の片隅ですべての罪ある者が、もう一方の片隅ですべての罪なき者がそれぞれ死の苦しみにあえいでいるとき、それはなんと呼ばれるのか」と。ボーイは「私にはわかりません」と答えます。
カルメンは、そのボーイに言います。

「あなたは仕事をするのよ、バカね、さがすのよ、さがさなきゃいけないのよ、それはなんと呼ばれるのかを」

ボーイは言葉を探し、そして、今死なんとするカルメンに答えます。

「お嬢さん、私が思うのに、それは夜明けと呼ばれるのです」

美しい、とても好きなシーンです。
映画の現場が終わると、決まってこのシーンのことを思い出します。
撮影しながら、わたしたちにもこの映画がなんなのか、まだ本当には分かっていません。きっと撮影を進めながら、さがしているのでしょう。『ゲゲゲの女房』も、まだ本当にこの映画が何を指し示しているのか、本当には分かっていないのかもしれません。これから、編集に入ります。