あれよあれよという間に…。

slowlearner_m2009-06-22



あれよあれよという間に、6月も後半です。
私は猫ストーカー』のパンフレット作りが、いきなり佳境です。
ささやかなパンフレットですが、写真をたくさん盛り込んで、しかも読みがいのあるパンフレットになりそうです。署名原稿は全部で3本。映画評論は、小柳帝さんです。小柳さんは、鈴木卓爾監督の旧作、8mm時代のアニメーション作品『街灯奇想の夜』や『ワンピース』も見て下さり、『私は猫ストーカー』を中心に鈴木卓爾小論というもいうべき評論を書いてくれました。


小柳さんには、以前、ユーロスペース鈴木清順監督のビデオ作品の上映をした時に、連続で清順作品について語ってもらったり、万田邦敏監督の『UN LOVED』のパンフレットにも、増村保造監督から万田作品に至るハードな評論を書いてもらいました。


それから対談は、先日もお伝えした『主題歌』『その街の今は』の小説家・柴崎友香さんと、浅生ハルミンさん、鈴木卓爾監督のお三方。


そして、詩人の平出隆さんにもエッセイを書いていただきました。
平出さんが書かれた小説『猫の客』が、とてもよかったので、ちょっと緊張しましたが、思い切ってお電話をして原稿をお願いしました。平出さんの詩には、なぜか惹かれるところがあって、昔からよく読んでいたので、ちょっとドキドキでしたが…。



ハルミンさんも『猫の客』がとても好きで、自分のことを“『猫の客』信者”だと言ってました。

平出さんの言葉で、パンフレットの冒頭を飾ったら、どんなにいいか、と思ったのです。

そして、先日、メールで原稿が届いたのですが、これが素晴らしいエッセイです。
何より文章が、色っぽい…。そして、映画の核心もついていただき、こんなに嬉しい原稿はありません。


パンフレットの編集作業は好きです。
真夏の夜の夢』のパンフレットも同時に作業中なのですが、坂本美雨さんや比較文学西成彦さんに原稿をいただきました。
西さんも、『トランス=アトランティック』などゴンブロヴィッチの翻訳者であり、『個体化する欲望』『マゾヒズムと警察』そして、一連のラフカディオ・ハーンについて書かれた論考など、とても刺激的で、タイプは違いますが管啓次郎さんと並んで好きな比較文学の書き手でした。西さんとも、初めまして、でした。

これだっ、と思った書き手の方に原稿をお願いして、期待に違わない原稿をいただいた時ほど嬉しい時はありません。

映画を作る事も、どこか編集者的な作業と共通点が多いと感じる事があります。

カサヴェテスが、どこかのインタビューに答えて、こんなことを言っていました。監督は、インタビュアーのようなものだ、と。いい答えを引き出すために、幾つも質問をする。そして、面白い答えが帰って来たら、じっと聞き手に徹するのだ、と。