よい町 『私は猫ストーカー』事始め〜その6

slowlearner_m2009-05-30



映画『私は猫ストーカー』の製作が決定し、まずは脚本家の黒沢久子さんが脚本作りに入りました。
ちなみに黒沢さんのお宅にも猫が一匹いるのです。
書きあがったシノプシスや脚本を原作の浅生ハルミンさんに読んでいただき、感想や意見をお聞きしつつ脚本作りは進んで行きます。



原作のハルミンさんと脚本の黒沢さんです。

それから渋谷の喫茶店でハルミンさんと鈴木卓爾監督との顔合わせも行われました。
長い時間いろんな話をしました。その時、とても印象に残っているのは「よい町」とは、どのような町か、という話でした。



鈴木卓爾監督とハルミンさんです。

皆さんにとって「よい町」とは、どんな町でしょう?

「野良猫」または「猫」をキーワードにして「よい町」を考えていくことが、この映画の核となるテーマになりました。

人が住むことによって、踏み固められ自然発生的に出来た「路地」のある町。
変わりつつある町。
そして、その町とそこに住む人々の営みを「猫」の視点から考えていくこと。

そう言えば、撮影のたむらまさきさんは、よくこんなことを言います。
「あなたたちは猫をなぜ飼うんですか? 猫はいればいいんです」
思い返せば子供の頃、猫たちは、誰が飼っているわけでもなく、町にいました。言ってしまえば、町が飼っているようなものだったのかもしれません。そのようなかつての町は、余計者や半端者を、柔らかく受け入れるような町であったかもしれません。

原作の『私は猫ストーカー』の中に、猫ストーカーの秘伝として、次のようなことが書かれていました。

「…視界をさえぎるブロック塀は、隣家との境界線だという人間の常識を忘れることです。といいますのも、猫にとってブロック塀とは見晴らしのいい長い台、そして細い通路だからです。」


人間が引いた境界線など、猫には何の関係もありません。

猫の視点から見たら、随分人間は奇妙な生き物なのかもしれませんね。