今日は鈴木卓爾さんのトークショーでした!

slowlearner_m2009-04-24



渋谷ユーロスペースで公開中の市川準監督『buy a suit スーツを買う』。梅田ガーデンシネマの公開は、本日まででした。足を運んでいただいた大阪の皆さん、ありがとうございました。ユーロスペースでは、5/21(木)まで公開が続くことになりました。是非ご覧いただければ幸いです。

さて、今日は、ユーロスペースで、鈴木卓爾監督をお招きしてトークショーが上映前にありました。



鈴木卓爾監督です。

昨日も書きましたが、卓爾監督が市川監督と出会ったのは、『トキワ荘の青春』への出演でした。トークショーでは、この作品へ出演された時の様子をいろいろお聞きしました。その中でも、台本の決定稿に、台詞があまり書き込まれておらず、ここでこういうふうなことを話す、ということだけが書かれていて、俳優たちは、その日の朝に配られる差し込みに書かれた台詞で芝居をした、という話は興味深いお話でした。

『buy a suit スーツを買う』を通して、市川監督作品の実景(お芝居のシーンではなく、風景が撮られたシーン)のあり方について卓爾監督がどう考えるかを、もう少し突っ込んでお聞きしたかったのですが、残念ながら時間切れになってしまいました。

卓爾監督のお話をお聞きしていると、市川監督は映画の登場人物たちが、その場所に生きているということを、とても重要なこととして考えていたのが分かります。『トキワ荘の青春』の時、市川監督は、マンガ家役の俳優たちをセットに入れて、ここがあなたたちの住んでいる場所なのだから、その感触を掴んで下さい、と、まずお芝居をするのではなく、その場所に俳優たちを馴染ませるような時間を設けたそうです。



そのセットは、素晴らしく、それぞれの役にあった小道具(例えば、それぞれの好みの映画が掲載されている映画雑誌)が用意されていたそうです。その雑誌は映画の画面に映るとは限りません。でも、それはどこかで俳優たちの役作りに影響しているでしょう。

そこは、彼らが日々を暮らし、マンガを描いている“場所”なのです。
登場人物たちは、画面に映っている時だけ存在しているのではなく、それ以外の時も、そこで暮らし、マンガを描き、笑い、泣いています。
それをこそ、市川監督は大事にしたかったのでしょう。

場所の中に人があること。

映画は、映っているものが全てなのではありません。
映っているものは、氷山の一角であって、映っているもの以外の場所、映っているものの外側が映画のリアリティを支えているのだと考えていらしたのではないでしょうか?