『市川準監督のこと』2日目!!

slowlearner_m2009-03-22



市川準監督のこと 追悼・市川準監督レトロスペクティヴ』は渋谷ユーロスペースで2日目を迎えました。今日の上映は、『東京兄妹』『会社物語 MEMORIES OF YOU』『あおげば尊し』、そして『トニー滝谷』でした。連日、18:30の最終回の上映前には、トークショーがあるのですが、今日のトークは、写真家で『トニー滝谷』の撮影も担当された広川泰士さんです。



広川さんは、写真集『Sonomama Sonomama』などで知られる写真家です。『トニー滝谷』の現場に参加させていただいた時、広川さんが撮影されると聞き驚きました。広川さんと市川監督の出会いは、CM。市川監督が演出された宮沢りえさんの「すったもんだがありまして」という台詞が印象的な缶酎ハイのCMの撮影でした。

それまでも幾度かはCMの撮影をされたことがあった広川さんですが、この市川監督のCMはシリーズ化されたこともあり、また平行してサントリーオールドの市川監督によるCMの撮影も担当することになって、多くの作品でコンビを組まれることになりました。

言うなれば、以前から興味があったといえ、広川さん動画の世界に引っ張り込んだのは、市川監督だと言う事ができるのでしょう。市川監督のストーリー性の高いCMを撮影するのが面白かった、と広川さんは話してくれました。

そして、ほぼすべてのシーンを野外の舞台の上で撮影した『トニー滝谷』。広川さんにとっては、はじめての映画の撮影でした。普通の映画の作り方では考えられないアイディアで撮られたこの作品。この撮影方法には、スタジオのセットで撮影することと近いようで、根本的なところで異なる部分があるように感じられます。それが何なのか、『トニー滝谷』を見ながら、いろいろ考えてみることができそうです。



市川監督は、『トニー滝谷』を「全編に風が吹いているような作品にしよう」と語っていたそうです。メイキングドキュメンタリーが『晴れた家』というタイトルになったように、『トニー滝谷』は、そのような作品として結晶しました。

この後も、市川監督と映画を撮影するお約束があったようです。でも、その約束も、もう果たされることはありません…。

広川さんのHPは、こちらです。http://www.cyberoz.net/city/hirokawa/

今回の上映では、作品の上映前に必ず、市川監督のCM名作選が上映されています。国土ピーコンやさくらやのCM、「また戦争?」とおばあちゃんが吉幾三さんに言うクロネコヤマトのCMなど傑作揃いで、テレビで番組を見るよりもCMの方が面白いと言われた一時期のことを思い出します。


明日3/23(月)の上映作品は、11:45〜『ノーライフキング』(この日だけの上映です!)、14:00〜『大阪物語』、16:15〜『トニー滝谷』、18:30〜『東京マリーゴールド』です。明日の18:30からのトークのゲストは、周防義和さん(音楽)です。

周防さんのHPは、こちらです。http://www.suoyon.net/
周防さんは、周防正行監督の『変態家族兄貴の嫁さん』『ファンシイダンス』『シコふんじゃった。』『それでもボクはやってない』や、長尾直樹監督の『アルゼンチンババア犬童一心監督の『死に花』など多くの映画やドラマのサウンドトラックを手がけていらっしゃいます。

東京マリーゴールド』を見直しました。口笛の曲が印象的です。“東京”で生きているひとりの女の子との寄る辺ない気持ちを描いた作品です。そして、最後にふいに市川監督のCMというメディアに託した“想い”が溢れるシーンがあって、切なくなりました…。この作品もまた市川監督のある種の“私信”のようなフィルムなのかもしれません。



明日は、CM名作選vol.2として、作品上映前に「味の素・ほんだし」シリーズを上映します。田中麗奈さんと樹木希林さんが出演されてたシリーズです。周防さんは、『東京マリーゴールド』だけでなく、このシリーズの音楽も担当されています。通してみると、まるで映画を見る味わいのシリーズです。

さて、本日は、市川監督の多くの作品で助監督を務められた演出の貝本敏弥さんによる「市川準監督のこと」です。



風の強い一日で、夜になって雨になりました。



帰り道、電話ボックスの中で雨宿りをする野良に出会いました…。