静かに進行中!

slowlearner_m2009-02-14


鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』は、それぞれのパートで静かに製作進行中です。
アニメーション部分は、監督と大山さん、和田さんがコミュニケーションをとりながら製作中。
音楽も監督との打ち合わせを経て、蓮実重臣さんが製作に突入しました。やはり主題歌ができます! しかもデュエットで、歌詞は鈴木卓爾監督と原作者である浅生ハルミンさんが共同で作詞することになりそうです。
音の整理も進んでいます。「音を整理していくと、ハルの存在感(流れ)がより強くなっててきたように思います」とは音響効果の菊池信之さんの言葉。月曜日には、早朝から根津、谷中の撮影現場を音ロケします。菊池さんは効果音を使いません。現場に、その場所に流れていた音を重視します。今回は、東京の音、テーマにしているので、もう一度ロケ現場に、そこで鳴っている音を録りに行くのです。


“東京”。それが、『私は猫ストーカー』を企画したときの、テーマのひとつでした。野良猫のいる東京の風景を撮る。そして、そこではどんな“音”が鳴っているのだろう…。様々な規制が敷かれていく中で(それが必ずしも不必要なことだと思いませんが)、野良猫たちは、どう生きているのだろう、とも思ったのです。事前に野良猫事情に詳しい方に話をお聞きすると、野良猫の絶対数は明らかに減っているし、野良猫、外猫でも事態は変わらないと思いますが、彼らが生き難い町に次第になっていることが分かりました。

子供の頃、野良猫たちも野良犬たちも普通に町にいました。
わたしたちは、どんな町を作ろうとしているのでしょう?

そんなことが、『私は猫ストーカー』という原作にも書かれていると思ったし、それはこの映画の裏テーマであるとも思ったのです。

まだスタッフも参加していない頃、ひとりで自主ロケハンをしました。東京の古い町を、幾つも歩いてみました。わたしは東京生まれではありません。大学の頃、学校にも行かず、ウロウロと東京のそこここを歩き回ったものでした。小林信彦さんの『私説東京繁盛記』も、その頃読んだ本のひとつでした。歩いて分かったのは、その変貌ぶりでした。様々な理由があるにしろ、大学の頃に見た町は、あきらかに変貌を遂げ、または変貌しつつあり、どこにでもあるチェーン店が軒を連ね、それは町ではなくなってしまったような印象を受けたものです。

しかし、それは東京に限りません。
わたしの故郷である地方の町も、わたしが幼い頃をすごした面影はほとんどありません。
故郷の町にも、どこにいってもあるようなチェーン店が軒を連ねています。
これは郷愁ではありません。そのような町には、いいところもあったけれど、悪いところも同じくらいあったのですから。




わたしたちは、『私は猫ストーカー』の舞台を、根津、谷中、千駄木を中心とする町に決めました。
しかし、これらの町も刻一刻と変貌しています。
決して、昔のままの町ではありません。
でも、この町には、いろいろな理由はあるのでしょうが、どっこい猫たちは生きていたのです。


最近の目の前に訪れてくれた猫たちをご覧下さい。
私は猫ストーカー』を記念して、野良猫のいる風景をアップしていこうと思っています。



今日の写真は、撮影中に谷中墓地にいた野良です。