高崎映画祭

slowlearner_m2009-02-12



昨年、市川準監督が亡くなったのもショックでしたが、高崎映画祭事務局代表の茂木正男さんが亡くなったのもショックでした。わたしは、あまり茂木さんのお手伝いができたわけではありません。でも、高崎映画祭の代表として、シネマテークたかさきの総支配人として、わたしたちのような小さな日本映画を配給している者たちの、心強い味方のひとりでした…。

その高崎映画祭が、今年も3/28から4/12まで開催されます。
先日、プログラムの発表されましたが、その中に『市川準監督を偲んで』という追悼プログラムが組まれています。『buy a suit スーツを買う』も、もちろん招待作品として


4/12(日) 16:00〜 高崎シティギャラリー


でクロージング作品として上映されます。
お近くの皆さんは、是非ご覧いただければ幸いです。
http://www.wind.ne.jp/tff/sakuhin_ichikawa.html


HPを拝見すると、第2回の『BU・SU』のベストアイドル賞に始まり、第20回の『トニー滝谷』の最優秀作品賞まで、多くの市川作品が高崎映画祭で上映され、そして数多くの賞を受賞している事が分かります。高崎の観客の皆さんが、市川監督の作品をどれだけ愛して下さってきたかが分かります。


今回のこの追悼プログラムでは、『buy a suit スーツを買う』を含め6本の市川作品が上映され、さらに『トニー滝谷』のメイキング映画である村松正浩監督の『晴れた家』が上映されます。『晴れた家』は、『トニー滝谷』の製作に加わった時に、村松監督にお願いして撮っていただいた作品です。



周知の事かもしれませんが、『トニー滝谷』は、そのほとんどのシーンが屋外で撮影されました。横浜の広大な空き地に、言ってみれば野外舞台を作り、その上を、ある時はトニーの家に、ある時はバーに、ある時はトニーの勤めるデザイン会社にとセットを組んで撮影されました。撮影を担当されたのは、写真家でもある広川泰士さんです。だから、このセットには、屋根がありません。でも、雨は降りませんでした。市川監督は、晴れ男なのです。照明の中須さんは、光をあてることよりも、戸外で室内のシーンを撮っているので、重機で光を切る事が多くの時間を費やしました。


だから、よく見て下さい。夜のバーでイッセー尾形さんのトニーと宮沢りえさんの妻がいるシーンで、宮沢さんの髪が、風に揺れているのです。その一部始終をメイキングとして立ちあった村松監督は、このメイキング映画のタイトルを『晴れた家』としました。秀逸なタイトルだと思い、感心したのを思い出します。


昨日は、茂木さんのお別れの会があり、今度『buy a suit スーツを買う』を上映して下さる名古屋シネマテークの平野さんと、梅田ガーデンシネマ、京都みなみ会館のはじめとする関西での配給をしてくださるRSCの佐藤さんが、事務所によってくださいました。このお二人もまた、辛い時も、いい結果が出た時も、わたしたちのような小さな事務所が制作したり配給したりする映画と伴走して下さっている兄貴たちです。


お二人は、鈴木卓爾監督『私は猫ストーカー』の完成をとても楽しみにして下さっていました。嬉しいです。


市川準監督のこと 追悼・市川準監督レトロスペクティヴ』のチラシが出来上がってきました。