ついにオールラッシュです。

slowlearner_m2009-01-31


鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』は、ついにオールラッシュを迎えました。
午後から新橋の某試写室にて、監督とスタッフ、それから原作の浅生ハルミンさんでオールラッシュを見ました。

映画の物語は、中盤に起きる些細な事件(ほんとうに些細なのですが)をめぐって展開します。
今回は、そこに緊張感が加わりました。
しかし、これ以上の緊張感があっては、映画を壊してしまうのかもしれません。

終って、エグゼクティヴプロデューサーのTさんは、脚本で読んでいたささやかさよりも、映画の方が物語の感情に起伏が出ているね、と笑顔でおっしゃっていました。
この映画を上映して下さる劇場のIさんは、映画を見ている間に自分自身のいろいろなことを思い出してしまいました、とおっしゃっていました。

ここで、オールラッシュではありませんが、セミ・オールラッシュを見て下さった土居伸彰さんから届いたメールに書かれていた感想をご紹介します。

まだこの段階で感想を述べるのもなんですが、
「猫ってよくわからないけどなんだかいいよなあ」というのが、
後半、「人間もよくわからないけどなんだかいいよなあ」というのに
くるりと反転するような瞬間があったような気がして、とてもジーンときました。
互いがよくわからないことを認めるからこそ築きうる、
人間同士の本当にポジティブな関係性というものが最終的に提示されているような気がして、
なんだか非常に勇気を与えてくれる映画だなあ、と素直に感じました。


嬉しい感想です。
土居さんは、今回、大山慶さん、和田淳さんという優れたアニメーション作家を、この作品のために紹介して下さいました。彼は、大学の授業で観たユーリー・ノルシュテイン『話の話』に衝撃を受け、アニメーション批評を中心に活動してる若き評論家です。Animationsというサイト(http://www.animations-cc.net/)で山村浩二さんらと共に活動を行っています。


この映画には、些細な事件をめぐって感情を揺らせ、右往左往する人間たちの回りで、猫たちが人間とは別の時間を過ごしている姿が映し出されます。
その猫たちの姿と、人間たちの姿を見ていると、人間とはなんて愛らしく、そして不自由で、奇妙な生き物であるかという事を感じます。


試写を終って、新橋駅前のKIRIN CITYで祝杯をあげました。5時間くらい…。
そこではもう監督と、たむらまさきさん、菊池信之さんが、音の構築の話に入っています。
こうやって、長い時間あれやこれや脱線をしながら話す中から、映画のアイディアが生まれてくるのです。


今日の写真は、現場で演技を見守る鈴木卓爾監督です。