セミ・オールラッシュでした。

slowlearner_m2009-01-29


今日は、鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』のセミ・オールラッシュでした。
中江裕司監督作品『真夏の夜の夢』の宣伝会議を終え、オフィス・シロウズから原宿の会場まで急げ急げ。

久しぶりにスタッフが集合します。
撮影のたむらまさきさん、照明の平井元さん、録音の清水修さん、脚本の黒沢久子さん、助監督の松尾くん、金子くんなどなど、編集部の菊井貴繁さん、福岡さんはもちろん、アニメーションの大山慶さん、和田淳さん、それからお二人をコーディネイトして下さったアニメーション批評の土居伸彰さん、音楽の蓮実重臣さん、音響設計の菊池信之さん…。


頭から通して、大きな画面で作品を見ました。
当たり前の事ですが、いつも小さなモニターの画面で見ていた星野真里さんのヒロイン・ハルや、宮崎将さんが演じる彼女のことが好きな鈴木さん、古本屋のご主人の徳井優さん、奥さんの坂井真紀さん、ハルの同僚である真由子の江口のりこさん…みんなの細かな表情が見えて来て、また全然見え方が代わってきます。


私は猫ストーカー』の編集は、ほんとうに最終段階を迎えたのだと思いました。
もうあまりこの作品をいじくってはいけないのです。
タイトにまとまっているところ、それからルーズなリズムのところが、作用しあっていて、もうこれ以上まとめすぎると、この作品の良さを壊してしまいそうです。


『気まぐれ美術館』の洲之内徹さんが、画家の喜多村知さんの話としてお書きになっている一文を思い出します。

先日知さんのアトリエに行ってみると、今年の能生の油絵が何点か出来ていた。中に一点、「これは未完成ですがねぇ」と知さんの言う絵がある。「だけど、どうしていいか分からない、これ以上描くと、せっかく生きたものがこわれてしまう」とも言う。

続けて洲之内さんは自らに問います。「未完成とは何か、完成とは何か」。


映画作りも一緒なのだと思います。
今日見ていて、『私は猫ストーカー』は、シンプルで何気ないストーリーラインを持ちながら、繊細に細部を積み上げて出来た映画なのだと思いました。一見分からないようでいながら、その単純なストーリーラインを支えているのは数多くの実験性であることが分かりました。

明後日はオールラッシュ。
そして、音楽製作、音の仕上げと『私は猫ストーカー』は第4段階に入ります。

今日の写真は、監督が撮影した編集室の窓から見た風景。小さいのでよく分からないのですが、猫が歩いているそうです。

そして、



私は猫ストーカー』のラッシュに見入るキビちゃんです。
鈴木卓爾監督の自宅にて。
キビちゃんは、監督の家の猫です。