『TOKYO レンダリング詞集』を併映します!

slowlearner_m2009-01-18


4月上旬の市川準監督作品『buy a suit スーツを買う』の上映の際に、同じく市川準監督の遺された作品の1本『TOKYO レンダリング詞集』を併映することになりました。

市川監督は、お仕事の行き帰り、散歩のときなど、いつでも『buy a suit スーツを買う』を撮影した小さなHDカメラを持ち歩いていて、気になった風景をひとりで撮り溜めていらっしゃいました。
その風景を綴り、その映像の上に、市川監督ご自身にとっての(これも監督のメモに遺されていた言葉だそうですが)ギリギリの言葉をのせて、作品を作っていらっしゃいました。

『buy a suit スーツを買う』の打ち合わせでお会いした時、市川監督は、そのような映像を自分でパソコンで編集して作っている作品があるから、『buy a suit スーツを買う』と一緒に上映できれば、とお話しされました。

タイトルは、『TOKYO レンダリング詞集』。

市川監督の仕事部屋のパソコンに遺されていたこの作品を『buy a suit スーツを買う』に併映して、皆さんに観ていただこうと思います。

小さなHDのカメラ。
『buy a suit スーツを買う』にクランクインする前、周囲の人たちに市川監督は、このカメラがいかに優れているかをお話しされていたそうです。

「人がいる場所」「人と流れる時間」「人がはきだす詞(コトバ)」。
その場所に立ち、その時間を感じ、そのコトバをのせて、東京に浮かび上がる情緒を“レンダリング”した映像作品

そのカメラを得て、市川監督の作品作りが自由度を増していたことを改めて考えてしまいます…。


『TOKYO レンタリング 詞集』



“出会わなければよかったなんて 言わないでくれ”


2008年、春先の東京。市川準が日常における“人を観る時間”の中で切り取ったいくつもの風景。そこには市川イズムともいえるギリギリの「詞(コトバ)」が綴られている。“実験”といいながらも劇場のスクリーンで公開する事に拘り続けた市川監督がこの作品に込めたものはなんだったのか。27分の映像が過ぎ去ったあとの残像の中にそのこたえが生まれるかもしれない。


2009年 27分(「buy a suit スーツを買う」併映)
撮影・編集:市川準 音楽:松本龍之介 協力= McRAY 配給:市川準事務所+スローラーナー