正念場…。

slowlearner_m2012-03-09



まあ、毎日が正念場のようなものなので、いちいち正念場と書いても仕方がないのですが…。
正直、綱渡りようで、胃が痛くなります。
東京は、ずっと冷たい雨が降っていました。
今日も一喜一憂するような日です。



昨日書いた湊谷夢吉さんの『ブリキの蚕』を装丁された伊藤重夫さんのマンガ『踊るミシン』(北冬書房刊)です。
大学生の頃読んで、大傑作だと思い、それ以来ずっと側にある漫画です。


「10数年前、マンガを描いている友人が『僕らは、一周おくれのトップランナーだ。』と言った。この言葉が好きだ。二周おくれでも、三周おくれでも同じトラックを走り続けられるのはうれしかった。一番前を走っていたのはつげ義春つげ忠男林静一佐々木マキだ。安部慎一鈴木翁二が走り出したのを見て、僕も観客でいられなくなった。…10年後の今、僕はここにいるけれど、競技はおこなわれているんだろうか?」


伊藤さんによる『踊るミシン』のあとがきの一文です。
映画の仕事をしていて、よくこの言葉を思い出します。
そして、『踊るミシン』や『チョコレートスフィンクス考』を机の上から取り上げて、読み返したりします。
すると、初めて読んだときの微熱のような気持ちが、すぐに甦ってくるのです。
高野さんと話をしていたら、つげ義春さんの漫画は今でも若い人たちによく読まれているのだろうです。どんな感想を持ったのか聞いてみたい気もします。安部慎一さんの『美代子阿佐ヶ谷気分』は、最近映画にもなりました。つげ忠男さんは偏愛する漫画家のひとりですが、ご病気だと聞いていたのですが、だいぶよくなられたそうです。佐々木さんの漫画を集めた『うみべのまち 佐々木マキのマンガ1967-81』が昨年太田出版から出ました。
伊藤さんの「踊るミシン』は、古本屋さん以外ではなかなか手に入りづらいかもしれません。
でも、忘れる事ができない漫画なので、なんどもネットの情報の海の中にタイトルを書き残しておきたいと思うのです。