かならず上手くはいかないので。

slowlearner_m2011-01-10



新しい映画のイメージキャストを固めようと思うのですが、必ず最初は上手くいかないのです。
頭が固くて、固定観念にとらわれてしまうのでしょう。
最初に組んだイメージキャストは、100人いれば100人が思いつきそうな、そして並んでいても、なんにも映画として豊かな感じが伝わって来ないイメージキャストです。
もちろん、名前を挙げた方達が、確実に引き受けてくれるわけではありません。
しかし、できるだけこの段階で、映画として出来る限り馥郁とした感じがでるようにしたいと思うのです。
でも、最初は頭が固いので、考えるだけ考えたらキャスト表とにらめっこをしながら、すこし放っておきます。
そのうち、固い頭がだんだんほぐれてくるのです。




彫刻家の舟越保武さんの文章を読むのが好きです。
舟越桂さんの父であり、長崎26殉教者記念像を作った方です。



舟越さんの彫刻やデッサンを見るもの好きですが、時々むしょうに読みたくなって『石と随想』や『巨岩と花』『石の音、石の影』なんかを引っ張り出してきます。



私の中に見える源流には、古い時代の職人たちの仕事場がある。
その仕事場に行って、昔の石職人たちの仲間に入れてもらいたい。
そこで素朴な石職人たちと一緒に、同じような仕事を、コツコツと気ながに仕事したい。
職人達は、名もなく、雑念もなく、芸術論もなく、のどかに仕事を続けているのだろう。
ただ出来上がる仕事だけが、素晴らしいのだ。
この人達こそ、私が最も信頼できる人達なのだ。
私は、源流にあるその地味な仕事に憧れている。
私は、生まれるのが千年遅すぎた。  

舟越保武「対談を終えて」