わが谷は緑なりき

slowlearner_m2010-11-12



今日は、『海炭市叙景』の宣伝会議でした。
これまでの宣伝の流れ、そして、これからやらなければならないことを確認し、意見を出し合います。
会議のためにユーロスペースに行くと…



劇場の入り口に11/20から始まる『ゲゲゲの女房』と12/18からはじまる『海炭市叙景』のポスターが並べて貼られていました。
この2本の映画は前後して撮影され、ほぼ同時期に仕上げをしていた、わたしにとってはまるで兄弟のような作品たちです。ユーロスペースでは、この2本が両方とも公開されるのです。それぞれ、まったくタイプの異なる作品です。この触れ幅の中に、現在の映画のあり方も読み取ることができるかもしれません。2本とも是非ご覧いただければ嬉しいです。



ジョン・フォード監督の『わが谷は緑なりき』です。
海炭市叙景』の宣伝会議でいろいろな話をしている間に、この映画がとても見たくなりました。
とても好きな映画です。何度見ても泣いてしまいます。
斜陽の炭坑。炭坑の人々の心も時代とともに荒んでいきます。やがてバラバラになってしまう家族。美しい歌…。
映画の『海炭市叙景』では、原作では炭坑の設定を造船所に変更しました。しかし、その精神は同じように作ったつもりです。
わが谷は緑なりき』を思い出したのは、だからというわけではありません。
幸福な時間が失われてしまうことを切なく描き出すその手つきが、1941年に作られたこの作品と『海炭市叙景』でどのように違うのか、そして、わたしたちに『わが谷は緑なりき』がなぜ作れないのか、本当に作れないのか、を見直してみたくなったのです。



わが谷は緑なりき』は、どこのレンタルビデオ屋さんにもありそうな名作です。
海炭市叙景』と是非続けてご覧いただければと思うのです。