七つめの絵の具

slowlearner_m2010-06-26



雨がパラパラと降ったり止んだりです…。
梅雨というよりは、夏の天気のようだと、ここ数日思います。
今日から、高橋伴明監督作品『BOX 袴田事件 命とは』が大阪と神戸で、鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』が広島サロンシネマで始まりました。
是非ご覧いただければ幸いです。



昨日の帰りに寄った本屋さんで、いせひでこさんの『七つめの絵の具』(平凡社刊)を衝動買いしました。いせさんには、『グレイがまっているから』に始まるハスキー犬グレイの本があります。かつて『ステイト・オブ・ドッグス』という映画を配給した時に、パンフレットに短いエッセイをいただきました。



「…重労働の果てに水と食べものの代わりに、棒で打たれて捨てられるという報酬を受けて、犬は草むらにころがされていた。人々が祭りに浮かれている道の端、老人と犬は出会った。炎天下の草の中で、犬は何を思い何を見ていたのか----私は草陰に伏せて犬の目の高さになって周囲を見わたす。ガマや背の高い稲科の草が視界を被い空しかみえない。でも、その鼻先に、あの老人の暖い手がさしのべられたのだ----、老人からみた犬を描くか、犬からみた老人の絵か、絵本を描く時、いつもむずかしいのがこの視点だ。私の絵本制作は、エスキースを描きだす前に、たったりすわったり、歩いたりころがったり…から始まる」


いせさんが、「フランダースの犬」を手がけた時のエピソード。
さらに、いせさんは、ルーベンスの絵の前で「教会の冷たい石の上に腹ばい」になるのです。


「悲しいだけの物語なんかではなかったのだ、---ころんだりころがったりすることで、物語のデーマまでちがってみえてくる」