菅家利和さんのコメント
残念ながら今日のユーロスペースの菅家利和さんのトークショーは、中止でした。
お聞きになりたいと思っていた皆さん、たいへん申し訳ありませんでした。
その代わりにというわけではありませんが、菅家さんから長文のコメントが届きましたので、代読させいていだきました。
ここにその全文を掲載しようと思います。
今日は,映画がはじまる前に,みな様の前でご挨拶とお話しをする予定であったのですが,それができなくなってしまいました。私の話を聞きたいと来ていただいたみな様には心よりおわびいたします。申しわけありませんでした。
このたび上映される映画の中には,袴田さんがとてもひどい取り調べがされている場面があると,映画を見た人から聞きました。
私も,ひどい取り調べでむりやり言わされた自白と,間違ったDNA鑑定で,やってもいない犯罪で起訴されて有罪となり,17年半もの長い間,自由を奪われてきました。今年3月26日,再審の判決が出て,やっと無罪であることが認められましたが,無罪判決が出た後も,私が受けたひどい取り調べのことは,全然頭から離れません。今でも一人でいると,私を取り調べた警察官のことが頭に浮かび,寝ていてもうなされて,目をさましてしまうことが何度もあります。そういう状態が,釈放されて1年たった今でも続いています。
袴田さんは,私以上にひどい取り調べを受けて,自白してしまったと聞いています。しかも,警察のひどい取り調べと間違った検察の起訴を,そのまま認めた間違った裁判官の裁判で,死刑判決まで受けてしまいました。そういう袴田さんが苦しんでいる場面が出てくると想像するだけで,とてもゆううつになってしまい,実はここ数日間,映画館に行けるかどうかとても迷っていました。そしてずうっと悩んでいたら,精神的につらいだけでなく,今度は体調も悪くなってきてしまい,映画館に行くことができなくなってしまいました。袴田さんは,今も死刑判決が言い渡されたままです。私も無実の罪で刑務所に入っていたときはとてもつらかったですが,死刑判決を受けた人がどれほどの気持ちでいるのか,私にも想像がつきません。
無実の人がなぜ生まれてしまうのか,そして,無実の人がどれほど苦しむことなのか,どうかみな様も映画をみて,考えて欲しいと願っています。
2010年6月15日
菅家さん、ありがとうございました。
コメントを代読する宣伝部の西川さん。
ユーロスペースのカウンター。お隣は大森立嗣監督の『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』ですね。石井裕也監督の『川の底からこんにちは』も続映中です。
梅雨入りじゃなかったんでしょうか…。