8/8からのシネマート新宿の上映時間が若干変更になります。

slowlearner_m2009-08-02



シネマート新宿で絶賛公開中の浅生ハルミン原作、星野真里主演、鈴木卓爾監督作品『私は猫ストーカー』。

先日お伝えした8/8(土)からのシネマート新宿の上映時間が若干変更になります。


8/8(土)〜14(金)  11:30/20:20
8/15以降は、直接劇場までお問い合わせ下さい。


夜の回が5分遅くなるのですね。

詳しくは、こちらから。
http://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/lineup/20090507_3631.html



さて、3周年を迎えた吉祥寺にあるOLD / NEW SELECT BOOKSHOP「百年」の店主Tさんが、『私は猫ストーカー』をみて下さったようです!

http://hyaku102.exblog.jp/10016285/


8/10(月)まで「百年」では、『「ブレーメンのわすれもの」詩・田中小実昌 絵・北村紀子「ブレーメンのおとしもの」絵と文・田中りえ』2冊セット 735円(よるひるプロ)の発売を記念して、田中りえさんの原画展を開催しています。田中りえさんは、田中小実昌さんの娘さんなのですね。http://www1.ocn.ne.jp/~riedesu/



田中小実昌さんは、まだ銀座にユニジャパンの試写室があった頃、よく試写に来ていただきました。猫背で飄々と、ちょこちょこと歩いてコミさんがいらっしゃると、なんだか幸福な気持ちになったものです。


またも子供の本についての無駄話です。
101歳で2008年にお亡くなりなった石井桃子さんがお書きになった『幼ものがたり』(福音館刊)が好きです。



石井桃子さんは、ミルンの『プー横丁にたった家』や『熊のプーさん』、ファージョンの『ムギと王さま』『リンゴ畑のマーティン・ピピン』の翻訳者であり、『ノンちゃん雲に乗る 』『山のトムさん』『三月はひなのつき』などの創作児童文学をお書きになった児童文学界の第1人者です。



『幼ものがたり』は、幼い頃の記憶の断片、明治末年の生活を幼い心に映じたままに描いた自伝ともいうべき作品です。その最終章「一年生」で、「私」は小学一年生になり、「千代ちゃん」と一緒に学校から帰るようになります。最後に千代ちゃんと「さよなら」をすると、家まではあと5分ほどの道のりを、「私」はひとりで帰るのです。


「たった五分でも、これが私の人生の最初のひとり旅だったと思う」


その5分間の道のりを歩きながら、「私」はいろいろなことを考えるようになります。


「…神様のことや、死ぬことなどである。…神様のことを考えるのは、何か細長い物をもっているときが、一ばん多かった。たとえば、朝、雨が降って、帰りには不用になった傘をぶらさげているようなとき。」


でも、「私」のそのような夢想と思索は、「小学一年生のときがピークで、それからは、読書と雑事に場所を奪われ」てしまい、読書に耽溺するようになると「私のきれぎれの思索は、それに太刀打ちできなかった。」


石井さんは、この本の最後に、こう書いています。


「いまふり返ってみると、もう少しあとまで私なりの幼い哲学をつづけてみたかったと思う。」


この一行が、とても好きです。映画を作ろうとしていると、この「幼い哲学」という言葉が、ふと頭に浮かんでくる事があります。もしかしたら、わたしにとって、映画を作ることと「幼い哲学」は、何か関係があるのかもしれません。映画を作ることは、すっかり忘れてしまった「幼い哲学」に触れる、ということなのかもしれません…。