西荻ブックマークは盛況でした!

slowlearner_m2009-06-28



いつもお世話になっている西荻窪の古本屋さん音羽館のHさんからお電話をいただき、西荻ブックマークのイヴェントに行ってきました。
西荻ブックマークは、西荻の本屋さんたちが、毎月開催している本に関するイヴェントです。
http://nishiogi-bookmark.org/


今回は、かつて大森にあった山王書房という伝説的な古本屋さんと、その店主である関口良雄さんをめぐる『昔日の客』を読む 〜大森・山王書房ものがたり〜と題されたトークイヴェントです。『私は猫ストーカー』でもお世話になっている岡崎武史さんと音楽プロデュサー、ディレクターであり、関口良雄さんのご子息である関口直人さんのトークに、カーネーション直枝政広さんも加わってのトーク関口良雄さんの著書『昔日の客』からの朗読という内容となりました。


雨なのに盛況の場内。
日向朝子監督の企画でお世話になる神保町の古本屋さん西秋書店さんや、『私は猫ストーカー』の原作者浅生ハルミンさんもお知り合いの石神井書林内堀弘さん、ハルミンさんの著書『猫座の女の生活と意見』を編集した晶文社のMさん、萩原魚雷さんの姿も会場に見えました。


山王書房という伝説的な古本屋さんの存在は、『私は猫ストーカー』を作るにあたってヒントをいただいた野呂邦暢のエッセイで知りました。もちろん、昭和52年に関口さんの早すぎる死によって閉店したので、わたしはかつてのお店の姿を知りません。しかし、この上林暁尾崎士郎尾崎一雄など多くの小説家に愛された山王書房と関口さんは、ずっと憧れの対象でありました。



内堀さんとも打ち上げで、ゆっくりお話をしました。
私は猫ストーカー』のチラシのスチールを見ていると、小さな商店街でお店をやっていて、日が暮れて、そして店を閉める、という、ゆるやかな店の感覚があって、とてもいい、とおっしゃってくれました。そして、このような店の感覚を自分たちは切り捨てて生きてきたのではないか、とも話してくれました。関口さんの『昔日の客』を読んでいても、店で日が暮れていく感覚がよく書かれていてとてもいい…。


でも、そのような店のあり方は、だんだん失われていくものなのかもしれません。ちょっと書いていて、どう表現していいのか分からないのですが、それはチェーン店で働いているのとは、まったく別の感覚なのです。関口直人さんが、「貧しかったけれど、なかなか売上0円って日は不思議とないものです。300円というのはあったと思います。でも、それでどうやって暮らしていたのだろう」と笑っていました。


私は猫ストーカー』を作っていた時も、(映画に登場する町は)やがて失われていく町なのだ、とよく鈴木卓爾監督と話していました。そして監督と音楽の蓮実重臣さんは、映画のラスト近くの曲に「失われる町」というタイトルをつけ、音楽を作ったのです。



関口さんにもご挨拶をしました。関口さんはCMの音楽プロデューサーとして市川準監督のパンパースなどのCMの音楽をプロデュースされているのです。監督の最後のCMの音楽も関口さんがプロデュースされていました。新作となるはずだった『ヴィヨンの妻』の映画音楽も手がける予定だったそうです。ここにも浅からぬ縁を感じます。直枝さんも市川監督のCMに出演されたと聞きました。

市川監督の死の直前に、お父さん関口良雄さんの著書『昔日の客』を市川監督に渡して読んでもらったのだそうです。市川監督は、その本の中の「大山蓮華の花」というエッセイがよかった、とおっしゃったそうです。「大山蓮華の花」は、「大山蓮華の花」のようなお客さんの死について書かれたエッセイでした。


明日は、不忍通りふれあい館での上映会です。