鈴木卓爾監督のこと

slowlearner_m2009-05-26



鈴木卓爾監督に『私は猫ストーカー』の監督をお願いしたのは、去年の夏ぐらいだったでしょうか。
数年前、渋谷のブックファーストソクーロフ監督作品『太陽』のパネル展を見ていた監督に声をかけ、喫茶店に行った時のことでした。監督は、すごく小さな音を増幅して聞くような、そんな映画撮りたい、と言っていました。
それを聞いたとき、鈴木卓爾監督と一緒に映画を作ってみたい、と思ったのです。

それから幾つかの企画が浮かんでは消え、浮かんでは消えました。甲斐田祐輔監督の『砂の影』に俳優として出演してもらった事もありました。それから、PFF矢口史靖さんとのワンピースの新作が、これまたとてもよかったのです。

ワンピースの、ちょっとどんな作品なのか書き難い作品なのですが、若い頃の祖父と祖母の逢瀬(演じていたのは田中要次さんと猫田直さん)と、その法事に来ている孫の兄妹(寺十吾さんと唯野未歩子さん)のエピソードがひとつの部屋の中で、同時並行で進んで行く作品が、とても好きだったのです。
その他の作品も、幕切れで情感が余韻のように残るいい作品でした。

確か…京王井の頭線の渋谷駅で、『私は猫ストーカー』の話をして、頼んだのだと思います。脚本は、黒沢久子さんに、と、もう決めていたのだと思います。


監督も猫と一緒に住んでいます。
矢口史靖監督の『ウォーターボーイズ』の現場で拾われたキビちゃんです。



折角、猫の映画を作るのですから、本当に猫好きの方達にも愛してもらえるような、そんな映画が作りたかったのです。


鈴木卓爾(すずき たくじ)


1967年、静岡県生まれ。84年、高校美術部の8mmカメラをつかい『街灯奇想の夜』を制作。88年の東京造形大学在学中に8mm長編作品『にじ』がぴあフィルムフェスティバルに入選。審査員特別賞を受賞。89年にはブリュッセル・スーパー8&ビデオ・フェスティバルにて上映される。その後、東京造形大学の後輩である矢口史靖監督『裸足のピクニック』(92年/共同脚本+監督補)、『ひみつの花園』(97/共同脚本)、『アドレナリンドライブ』(99/出演)に参加。また矢口史靖と『ワンピース』(94〜現在)『パルコ・フィクション』(02)を共同監督している。2006年にはホラー・オムニバス映画『コワイ女』の一編「鋼(はがね)」を監督。脚本家としてもNHKさわやか三組」、「中学生日記」、「時々迷々」の脚本を担当。また俳優として、市川準監督『トキワ荘の青春』(96/安孫子素雄役)をはじめ、瀬々敬久監督『雷魚』(97)、新藤兼人監督『三文役者』(00)、塚本晋也監督『六月の蛇』(02)、豊田利晃監督『ナイン・ソウルズ』(05)、平山秀幸監督『やじきた道中てれすこ』(07)、西谷弘監督『容疑者Xの献身』(08)など多数の映画作品に出演。2008年には三井リハウスのCMで、父親役を演じる。2009年、長編映画デビュー作『私は猫ストーカー』(浅生ハルミン原作、星野真里主演 7/4よりシネマート新宿ほかにてロードショー)を公開。現在、水木しげる夫人である武良布枝の自伝の映画化『ゲゲゲの女房』(実業之日本社刊)を準備中。