テリー伊藤さんの「市川準監督のこと」

slowlearner_m2009-03-31



ちょっと遅くなりましたが、『市川準監督のこと 追悼・市川準監督レトロスペクティヴ』の最終日、テリー伊藤さんのトークショーの様子をお伝えしようと思います。
この日、『市川準監督のこと』の最後の上映作品は『あおげば尊し』でした。スタッフにお聞きすると、この作品が市川監督の作品のフィルモグラフィーの中で、フィルムで撮影された最後の作品になるそうです。テリーさんは、この『あおげば尊し』の主演をつとめられました。



テリー伊藤さんと聞き手の貝本敏弥さんです。

テリーさんは、現場で完璧に台詞が入っていたそうです。周囲の人たちから、主演なのに台詞が入ってなくていいの、とプレッシャーを随分かけられたからだそうです。市川監督は、台詞の完璧に入ったテリーさんを崩そうとします。そうして、いわゆる演技ではない部分をテリーさんから引き出そうとするのです。

キャスティングの米澤さんも映像の中で話していましたが、市川監督は“普通”の人を描こうとしました。いやゆる演技によって登場人物の“生”が誇張されるのを嫌ったのかもしれません。

橋本さんもお話しされているように、時には“ぶっつけ”で撮影をされたようです。『病院で死ぬということ』で、別々の病院に入院している老いた両親を人目でも合わせたいと言う家族に、岸部一徳さんが演じる岡山医師が話をするシーンがそうです。「岸部さんだったら、どのように家族に話しますか?」と問うて、カメラは回ったそうです。
台詞は決められていませんでした。

あおげば尊し』で、テリーさんが演じる小学校の教師が、生徒たちに“死とは何か”話をするシーンにも、台詞はありませんでした。「テリーさんだったら、子供たちに何を話しますか?」と問うてカメラは回ったのです。



トークショーで、その事を問われたテリーさんは、「だから、ほんとうのことを話しました」とおっしゃいました。


「私は、ほんとうのことを話したのです」



さて、明日の『バサラ人間』上映後の活弁上映は、下記の2本です。

クレイアニメ ピートト』(キャラクターデザイン/リリーフランキー)

モノポリー