歌川恵子監督も猫ストーカー

slowlearner_m2009-02-28



久しぶりに歌川恵子監督からメールがありました。
写真展のお誘いです。
歌川監督が、3/1(日)まで西荻窪ギャラリーMu-Rung・夢卵で、歌川恵子の写真と言ノ葉展「出せない絵はがき」をやっているのです。



ギャラリーに行くと、歌川監督が撮影し、絵はがきとしてプリントされた写真が、天井から何枚も何枚も太い色とりどりの毛糸で、何枚も何枚も吊り下げられていました。
パネルに貼ってあるのではありません。
何枚かはひっくり返って、宛名面を見せて、夥しい彼女の日常の中で撮られた写真がぶらさがっているのです。


その展示を眺めながら、“物語”になる以前のわたしたちの日常は、このようにあるのかもしれない、と感じました。
映像と映像が並ぶと、それがどんなに無関係な映像同士であっても、その間に“物語”を生じさせます。
映画のカットとカットは、そのような関係にあるのだと思います。

歌川監督の展示は、並べられた“映像”から“物語”が発生する、その未明にある、ということができるかもしれません。


歌川恵子監督は、『みみのなかのみず』や『超愛人』といった作品で高い評価を受けた映像作家です。日常を撮りながら虚構とドキュメンタリーが飄々としたユーモアの中に溶け込んでしまうような作風がとても魅力的です。岡崎京子さんは、「私は貴兄のオモチャなの」を『みみのなかのみず』にインスパイアされて描きました。



97年に発表された『恋人百人』は…とても好きな作品で何度も見直してしまうのですが…何度見ても胸が痛くなります。彼女は庭で自らにカメラを向け、バイバイと手を振って消えてしまうのです…。



『恋人百人』のスチールです。


その後、2001年の『閉じ込めたいの』を最後に歌川監督は沈黙してしまいます。

彼女に撮って欲しいと思います。

今回は写真展で映画ではありませんでしたが、ともあれ、彼女の帰還を喜びたいのです。



写真の中には、数多くの猫の写真がありました。

「わたしも猫ストーカーですよ」

歌川監督が笑って言いました。


明日までですが、お時間がある方は是非行ってみて下さい。


歌川監督のHP「きのうのうた」は、こちらから。
http://kinounouta.web.fc2.com/index.html